有形?無形遺産の結節点を探る—青梅夜具地の展示プロジェクト
<指導教員>串田 紀代美
<発表日時>①2023年8月7日(月)~8月31日(木)②2023年10月8日(日)
<発表場所>①実践女子大学香雪記念資料館企画展示室 ②最新老虎机-老虎机游戏@第10回常磐祭(最新老虎机-老虎机游戏@ 70A)
生活文化史の中にある文化資源に、新たな価値を見出すための研究活動を行う。
具体的には、東京都青梅市に伝わる織物である青梅夜具地について調査し、香雪記念資料館において展覧会を開催する。青梅夜具地とは、西多摩地域で発展した布団に使われる布地であり、現在その技術は失われている。展示では、有形遺産としての作品だけでなく、無形遺産としてのその技術についても紹介する。また、ぎゃらりーはこ哉?金子静江氏(青梅市住江町)の協力のもと、現存する夜具地を用いてつくられたアップサイクルの作品も展示する。さらに、常磐祭での展示?発表も視野に入れて取り組み、有形遺産と無形遺産のつながりについて研究する。
2023年度

青梅夜具地とは、西多摩地域で発展した布団に使われる布地である。昭和時代に最盛期を迎え、全国に普及したものの、現在その技術が失われている青梅夜具地を調査し、生活文化史の中にある文化資源に、新たな価値を見出す。
青梅夜具地について広く知っていただくため、香雪記念資料館において展覧会を開催した。展示では、青梅夜具地の収集?保存に長年取り組んできた「ぎゃらりーはこ哉」のオーナー金子静江氏(青梅市住江町)の協力のもと、有形遺産としての作品を、その柄の多様さを強調する展示をした。また、無形遺産としてのその技術をうかがえる、当時の工場の様子を紹介した。さらに、「ぎゃらりーはこ哉」による現存する夜具地を用いてつくられたアップサイクルの作品も展示した。そして、青梅夜具地を用いたアップサイクルの体験ができるワークショップを行った。それにより、青梅夜具地を作る技術はすでに失われてしまっているものの、それを使った作品がよみがえり、過去の青梅夜具地が現在につながることが体現された。
2023年度第10回最新老虎机-老虎机游戏@常磐祭では、青梅夜具地の歴史と図案、ラベルに関する研究発表を行った。青梅市における現地調査によって、青梅夜具地に関する調査を行い、それをもとにまとめた研究発表をおこなった。
青梅夜具地の商業的側面を知るにあたり、ラベルに注目した。綿織物産業は大正時代における日本経済は激動による影響を、強く受けたが、青梅では、産業の近代化が他の地区よりも遅く、景気の波に乗れずにいた。国内景気に左右されることは避けられなかったものの、他の地域に比べると、激動に巻き込まれにくかったことが考えられる。そして、青梅夜具地のラベルのデザインからは、西洋に対抗するように殖産興業を掲げた産業というよりも、その地域でのびのびとつくられたデザインであることが示唆された。また、常磐祭において、金子静江氏による協力のもと、青梅夜具地の展示とアップサイクル品の販売を行った。instagramを活用することで、広く情報発信を行った。