障がい者の雇用について考える
<指導教員>篠﨑 香織
<発表日時>2023年10月7日
<発表場所>最新老虎机-老虎机游戏@常磐祭展示
障がい者の実雇用率は年々上昇しており、雇用機会は拡大しているものの、職業生活の質的観点からの検証は十分に進んでいない。そのため、障がい者向けのキャリア教育と企業の取り組み、当事者の体験談を踏まえて障がい者が自身に適した職場を見つけて、いきいきと働くために必要な要因について研究する。研究を進めるにあたり、以下の主体および個人を対象にしたインタビュー調査を予定している。
?障がい者雇用をしている企業へのインタビュー
?特別支援学校へのインタビュー
?実際に働いている障がい者へのインタビュー
News
2023年度

本活動では、主に企業へのインタビュー調査を通して一次データ、文献および政府統計より二次データの収集を行い、各自の問題意識に基づくまとめを行った。インタビュー先は、CTCひなり株式会社、コニカミノルタウィズユー株式会社、シダックスコミュニティー株式会社である。
研究の大きなテーマは、障がい者雇用を行っている企業では、①どのように雇用をしているのか、②障がい者がやる気をもって就業するにはどのような取り組みを行っているのか、である。障がい者雇用に向けては、企業と被雇用者だけでなく、家族、被雇用者が所属していた支援学校、そして居住している自治体の協力に基づくことが多いことがわかった。特に入職前から企業での体験(インターンシップ)や面談を通して関係を形成している。また、CTCひなり社では、「自立」を重視しており、被雇用者が自力で通勤できるかを採用の一つの基準にしていた。これらの取り組みは、企業側が被雇用者のもつ障がいを把握?理解し、適性を検討するだけでなく、長期的に勤務することを想定してのことである。
実際我々がインタビュー調査に訪れた企業における、離職率は非常に低かった。また、障がい者が積極的に仕事に関わる仕組みとして、障がい(精神、知的、身体)を配慮したうえで、様々な業務を体験することができ、複数のスキルを獲得できるようにしていく仕方や、将来のキャリアパスを提示したうえでじっくり3年かけて適性見極め、コースを選択する仕方があることを知ることができた。
CTCひなり社では、仕事に慣れてくると一週間の仕事の担当を自分たちで組むようになり、コニカミノルタウィズユー社では先を見据えて、仕事を通して自らの適正を把握しコースを選択する仕組みになっている。両社の共通点は、自立と自律の促進と、自ら意思決定に関わることである。これらは雇用者のやる気につながるだけでなく、帰属意識の醸成にもつながり、多様な要素が組み込まれていることがわかった。